あおいのKindle出版アカデミー印税を伸ばす実践教材

第2章

テーマ選びは大事だけどマーケットの大きさが最も重要

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第2章の図版1

Kindle出版で収入を得るということ

Kindle出版でちゃんと収入を得るには「読まれる本を作る」ことが全てです。

このBrainでは、「想いを形にする」ことも大切にしつつ、「読まれる本を書く」ことを最重視しています。

HARMの法則

Kindle出版の世界ではよく知られた話ですが、「読まれる本のテーマ」にはある法則があります。

それが「HARMの法則」です。

HARMとは、人間が強い関心を持つ4つの分野の頭文字を取ったものです。

・H(Health):健康・美容・ダイエットなど

・A(Ambition):夢・将来・キャリアなど

・R(Relation):人間関係・恋愛・コミュニケーションなど

・M(Money):お金・副業・節約など

この4つのどれかに関連するテーマは、読まれやすいと言われています。

「稼ぐ系」が鉄板、は本当か?

HARMの中でも特に「M(お金・稼ぐ系)」が鉄板だと言われています。

これは、おそらく間違いではありません。

誰だってお金は欲しいですよね。

生きていくために必要ですし、お金に強い関心を持つことは当然のことです。

と、ここまではよくある話です。

でも、ここで一つ伝えたいことがあります。

実は、稼ぐ系以外も案外読まれるんです。

私のベストセラー2冊が証明していること

私の書籍の中で、読まれ続けているトップ2の書籍があります。

1冊目は「ChatGPTでnoteを始めよう(1日15分で身に付く書く習慣)」です。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0FD3TQYP1

2冊目は「ChatGPTで独学英語(あらゆるシーンに対応できるAI英語学習法)」です。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FFK7wP7X

1冊目のnote本は、副業の要素が少しだけありますが、前面には押し出さず「自己表現」を軸にしています。

2冊目の独学英語の本は、稼ぐ系の要素は皆無です。

それでも、この2冊はもう長期間ずっとベストセラーを維持し続けています。

(時々ベストセラーじゃなくなってる時もあるけど)

さらに、KDPセレクトボーナス(Amazonから良書に支払われる印税とはまた別のボーナス)の対象にもなっています。

これが本当に大きい。

レビュー特典では、この2冊を含む各書籍の月別の伸び方を、Amazonの規約に配慮した範囲で、傾向としてまとめています。

ぜひご覧ください。

さて、この事実は何を示唆しているのでしょうか。

HARMの法則を意識することはとても大事。

でも、その先にある「マーケットの大きさ」を意識することが、もっと重要だということです。

ここから先は、この「マーケットの大きさ」という概念を、色んな角度から徹底的に解剖していきます。

少し長くなりますが、ここを腹落ちさせておかないと、この後のノウハウが「なぜそうするのか」という根拠なしに宙に浮いてしまいます。

ぜひ読み進めてください。

第2章の図版2

そもそも「マーケット」とは何か?

マーケット(市場)とは、シンプルに言えば「需要と供給が出会う場所」です。

買いたい人がいて、売りたい人がいて、そこに取引が生まれる。

その集合体がマーケットです。

では、何がマーケットの大きさを決めるのでしょうか。

数字で言えば「欲しいと思っている人の数」です。

でも私はもう一歩踏み込んで、こう定義したいと思っています。

マーケットとは、「未解決の感情」の総量である、と。

どういうことか。

人がお金を払う時、その根っこには必ず「感情」があります。

不安、痛み、憧れ、コンプレックス、悔しさ、焦り。

あるいはもっとポジティブな欲求として、喜び、成長したい気持ち、誰かに認められたい気持ち。

こうした感情が「未解決のまま」積み重なっている場所こそが、大きなマーケットです。

不安の総量が大きい市場は強い。

痛みが強い市場は強い。

緊急性が高い市場は強い。

逆に言えば、いくら優れた商品を作っても、その商品が解決する「感情」を持っている人の数が少なければ、マーケットは小さい。

Kindle出版のテーマ選びとは、突き詰めれば「どれだけ多くの人が抱えている、未解決の感情に触れるか」という問いへの答えを探す作業なんです。

人間の欲望には「構造」がある

マーケットを支える感情には、構造があります。

心理学者マズローが提唱した「欲求の5段階説」は、人間の欲求をピラミッド構造で説明したものです。

土台から順番に、

「生理的欲求(食べたい・寝たい)」

「安全の欲求(安心したい・守られたい)」

「社会的欲求(つながりたい・仲間に入りたい)」

「承認欲求(認められたい・評価されたい)」

「自己実現欲求(なりたい自分になりたい・成長したい)」

の5層です。

HARMの法則に当てはめると、「M(お金・稼ぐ系)」は安全の欲求と承認欲求の両方に直結しているため、強い需要が生まれやすい。

「H(健康)」は安全の欲求の最たるもので、これも強い。

「R(人間関係)」は社会的欲求と承認欲求の両方に関わります。

そして「A(夢・成長・自己実現)」は、上位の自己実現欲求に相当します。

ここで一つ重要な視点があります。

自己実現欲求というのは、基本的な生活が安定して初めて強くなる欲求です。

つまり、ある程度豊かな社会では、この欲求を持つ人の割合が増えていく。

シニア層の方々が「稼ぎたい」より「学びたい」「表現したい」「人の役に立ちたい」という欲求を持ちやすいのも、ここに理由があります。

生活の基盤がある程度確保されているから、より上位の欲求が前面に出てくる。

「英語を学び直したい」

「noteで日記を書きたい」

「孫に料理を教えてあげたい」

これらは全て、自己実現欲求を持つ人たちの「未解決の感情」です。

そのマーケットは、決して小さくありません。

これはKindle出版で言えば、「稼ぐ系以外のテーマでも、欲求の構造さえ捉えていれば十分に戦える」ということを意味しています。

第2章の図版3

「売れるテーマ」には共通の構造がある

マーケットの大きさをさらに精緻に見るための視点として、「緊急度」と「頻度」の掛け合わせがあります。

売れるテーマには、次の2つの特徴があります。

一つは「緊急度が高い」こと。

今すぐ解決したい、放っておけない感情に触れているテーマです。

「体調が悪い」

「お金が足りない」

「人間関係がうまくいかない」など、

痛みの度合いが高い問題ほど、緊急度は上がります。

もう一つは「頻度が高い」こと。

毎日直面する問題です。

「今日の夕飯どうしよう」

「英語が聞き取れなかった」

「睡眠が浅い」など、

繰り返し発生する悩みに関連するテーマは、継続的に読まれます。

健康は毎日のことです。

料理も毎日のことです。

お金の不安は常にあります。

Kindle出版のテーマを選ぶ時、「このテーマは緊急度が高いか?頻度が高いか?」という問いを自分に投げかけてみてください。

どちらか一方が高ければ十分です。

両方高ければ、最強のテーマです。

第2章の図版4

イノベーター理論が教えてくれる「本当の市場規模」

もう一つ、マーケットを理解する上で絶対に知っておきたい理論があります。

「イノベーター理論」です。

1962年にエベレット・ロジャースという社会学者が提唱したもので、新しい技術や製品が社会に普及していくプロセスを5つの消費者層に分けて説明しています。

・イノベーター(革新者):全体の約2.5%。最も早く新しいものを取り入れる人たち。リスクを取ることを厭わない。

・アーリーアダプター(初期採用者):全体の約13.5%。イノベーターの動向を見てから動く。インフルエンサー的な存在。

・アーリーマジョリティ(前期多数採用者):全体の約34%。流行り始めてから動く。慎重だが、周りが使い始めたら乗っかる。

・レイトマジョリティ(後期多数採用者):全体の約34%。半数以上が使い始めてから動く。懐疑的で、「みんなが使っているなら」で動く。

・ラガード(遅滞者):全体の約16%。最も変化を嫌うグループ。伝統を重んじ、新しいものへの抵抗が強い。

この理論で重要なのは、イノベーターとアーリーアダプターを合わせても全体のわずか16%しかいないということです。

つまり、新しいテクノロジーや最新ツールに飛びつく人は、市場全体のせいぜい6人に1人です。

残りの84%は、「みんなが使い始めてから」「もはや使わざるを得なくなってから」動く人たちなんです。

Kindle出版で言えば、アーリーアダプターに刺さる本と、マジョリティに刺さる本では、マーケットの大きさが5倍以上違う可能性があります。

これ、私はものすごく重要な概念だと思っています。

なぜなら、Kindle作家の多く(というかX民?)は新しいもの好きですからね。

後でも述べますが、あなたの「これだ!」と市場の「欲しい」は「ズレている」可能性がある、ということです。

第2章の図版5

「キャズム」という溝の向こうに、ブルーオーシャンがある

イノベーター理論をさらに深掘りすると、もう一つ重要な概念が出てきます。

「キャズム」です。

マーケティング戦略家のジェフリー・ムーアが1991年に提唱した概念で、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には「キャズム(深い溝)」があると指摘しました。

最新テクノロジーが大好きなアーリーアダプターと、「みんなが使うなら」で動くアーリーマジョリティでは、価値観も情報の入手経路も全く違います。

このキャズムを超えられずに消えていったプロダクトは、無数にあります。

でも、Kindle出版の文脈では、このキャズムを「超える必要はない」のです。

むしろ、キャズムの向こう側に最初から陣を張ればいい。

最新ツール好きのインフルエンサーたちがほとんど踏み込んでいない領域です。

競合が少ない。

でも需要だけは海のように広い。

これが、Kindle出版におけるブルーオーシャンの捉え方ではないかと、私は考えています。

(競合ひしめくマーケットがレッドオーシャン、競合が殆どいないマーケットがブルーオーシャンです)

NanoBananaProより古いツールの本が売れている話

もう一つ、この理論を裏付ける事例をお伝えします。

私は以前「nano banana pro AI漫画 画像生成入門 完全初心者向け!」という書籍を出しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0GFXVSS4T

レビュー評価、まずまずの評価です。

おかげさまでベストセラーも何度も取得できています。

一方、私のデビュー作「2025年度版ChatGPT『超』簡単誰でも画像生成入門」という本があります。 (今は2026年度に修正しました)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0F37QHX5Y

レビュー評価、見るたびに下がっているような、気もしないでもない(笑)

私の体感では、画像生成AIの世界では今やNanoBananaProのような、画像生成に強い最新AIツールが一強です。

文字崩れが少なく、お手軽で、誰でも使える。

それ以前のツールにあった難解な設定や呪文のようなプロンプト(依頼文)が必要だったAIツールを、NanoBananaProは全て薙ぎ倒していきました。

だから当然、NanoBananaProの本の方が読まれるはず...ですよね?

ところが、2026年1月時点では、ChatGPT画像生成の本もしっかり読まれています。

え?なんで?ってなりませんか?

理由は、シンプルです。

「NanoBananaPro」で検索する人は一握り(その多くがX民ではないだろうか)ですが、Amazonの検索窓で「ChatGPT」で検索する人はその何倍もいる。

イノベーター理論で言えば、当時は、NanoBananaProはまだキャズムの手前、アーリーアダプター層までしか浸透していなかった可能性があります。

一方、ChatGPTは「チャッピー」という愛称で呼ばれるほど、すでにマジョリティ層にも広がり始めています。

ただし、広がっているのは「ChatGPTという名前」や「ちょっとした相談に使う体験」です。

最新AIツールを使い分けたり、仕事や副業に深く組み込んだりする段階とは、まだ距離があります。

個人的には、今はもうChatGPTよりGeminiの方が性能が上だな、特定の分野においてはGeminiより優れたAIも複数あるな、と感じています。

ですが、実際、私が書いたその他の「ChatGPTで◯◯シリーズ」も引き続き読まれ続けています。

(レビュー特典では、全書籍の月別の伸び方を、Amazonの規約に配慮した範囲で、傾向として公開しています)

なお、月25万円という私の印税収入は、こうした「広いマーケットに向けた本」を含めて15冊以上同時展開しているからこそ生まれています。

この「マーケットの大きさ」という視点でテーマを選んだ本を積み重ねていくことが、月25万円の印税の構造なのです。

もちろん、Kindle作家はニッチなマーケット(テーマ)を狙え!

と主張する方々がいることは、当然私も知っています。

ですが、私は、

・プロ作家ではありません

・マーケターでもありません

・Webライティングのプロでもありません

・エンジニアでもないからAIの複雑なプロンプトは組めません

・何より、ニッチなテーマで書けるテーマが私にはありません

だから、なるべく需要の大きなテーマで、AIを活用しながら、一定の品質を保って継続的に出版する戦略を取っているのです。

この「出版を積み重ねる」という戦略は、特別な才能に頼らず、再現性を高めやすい戦い方だと思っています。

個人的には、確信しています。

第2章の図版6

「チャッピー」事件が教えてくれたこと

この話を裏付ける、もう一つのエピソードをお伝えします。

先日、私がカフェドクリエで執筆をしていた時のことです。

どうでもいいんですが、カフェドクリエのコーヒーを作る時の音ってなんであんな爆音なんですかね。

後ろの席に、ご高齢に見える3名の女性がいらっしゃいました。

介護やら年金やら色んな話をされていたのですが、そのうちの1人がこんなことを言い始めました。

「ところでみんな、チャッピーって使ってる?すっごい便利よ!晩ごはんのおかずとか相談できちゃうの!」

残りの2名が「え?なになに?チャッピーって誰?」という反応。

「ChatGPTっていうAIよ、本当使い方が簡単なのよ」と意気揚々と話し始めるマダム。

私は、「いやいや、ChatGPTもっと便利なことに使えるよ?それGoogleでもできるじゃん」と思いました。

でも、すぐに考えを改めました。

「待てよ、マジョリティの日本人のAI用途は、まだ晩御飯のおかずを相談する程度なのかもしれない」と。

でもきっと、この方々は、Amazonは知っているし、Amazonで普通に買い物もするだろうし、きっとKindle本も読むんだろう。

私たちのKindle本を手に取るマジョリティの方々は、ひょっとすると、このような女性たちなのかもしれない、と。

あなたは「感度が高すぎる」

このBrainを読んでくださっている「あなた」はKindle作家ですか?

Xで日々情報収集している方ですか?

AIを使えば何かできるのではと思っている方ですか?

AIを使った副業を目論む方ですか?

実は「あなた」は、IT・AI領域においてかなり感度が高い部類に入る方だと思います。

イノベーター理論で言えば、あなたはイノベーター〜アーリーアダプターの位置にいます。

全体の16%以内の、情報感度が非常に高い人たちです。

AIといえばChatGPTだったのが、今はGeminiやClaudeもその他の新しいAIも使い分けている、くらいの感覚をお持ちの方でしょう。

日本全体で見ると、AIという言葉を知っている人、実際に少し使ったことがある人はかなり増えています。

でも、「AIを知っている」ことと、「自分の生活や仕事の悩みに合わせて使いこなせる」ことは別です。

AIに限って言えば、Kindle読者が知りたいのは「自分の困りごとが、AIでどう楽になるのか」です。

ここを見誤ると、Xでは話題になっているのに、Kindleでは読まれない本が生まれます。

Kindle出版では、自分より情報感度が低い人に合わせる、というより、「読者のマジョリティが今どの段階にいるのか」を見極めることが大切です。

ここに、Kindle出版における最大の落とし穴があります。

感度が高いあなたが「これは面白い!」と思ったテーマは、残念ながらまだマジョリティには届かない可能性もある。

自分の「当たり前」を一度手放して、「チャッピー」と呼ぶ彼女たちの視点に降りていけるか。

それが、Kindle出版で稼ぎ続けることができるかどうかの分かれ道に繋がると、私は考えています。

コロナのマスクが、全てを説明している

コロナウイルスが感染拡大し始めた頃のことを覚えていますか?

あの時、マスクが消えました。

スーパーもドラッグストアも空っぽ。

ネットでは中国製の不織布マスクが、1箱(50枚入り)2,000円〜3,000円で売られていました。

しかも、到着は1ヶ月後。

それでも飛ぶように売れていきました。

普段は1箱500円もしないような、何の変哲もないマスクです。クオリティが上がったわけでも、機能が劇的に進化したわけでもない。

むしろ粗悪品も多かった。

でも、売れた。

飛ぶように、です。

なぜか?

日本中の多くの人が、同時に「マスクが欲しい」という未解決の感情を持ったからです。

需要が爆発的に広がった時、品質だけでは勝敗が決まらなくなります。

もちろん品質は大切です。

ただ、大きな需要が生まれている市場では、完璧な品質よりも先に、読者の切実な困りごとに届くことが重要になる場面があります。

「どれだけいい本を書くか」を考える前に、「どれだけ多くの人が求めているテーマか」を考える。

Kindle出版で稼ぐためには、この発想を忘れてはいけないのです。

学校教育ビジネスが教えてくれる「シュリンクするマーケットの恐怖」

少し違う角度から、マーケットの話をします。

皆さんは、近年の学習塾業界や教育系スタートアップが厳しい状況に置かれていることをご存知でしょうか。

教育テクノロジー(EdTech)領域のスタートアップからは、ここ数年で国内外の投資家による資金引き上げが相次いでいます。

かつては「未来の有望市場」として大きな期待を集めていた分野ですが、現在は投資家の目が厳しくなっています。

これは業界の内部事情を知る人たちの間では、広く共有されている事実です。

なぜか?

理由はシンプルです。

マーケットが縮小し続けているからです。

日本の出生数の推移を見てみましょう。

1949年(第一次ベビーブームのピーク)、日本の年間出生数は約270万人でした。

1973年(第二次ベビーブーム)でも約209万人。

それが2016年に初めて100万人を割り込み、2022年には80万人を割りました。

2023年は約72.7万人、2024年は約68.6万人、2025年は概数で約67.1万人です。

ピークだった1949年の約269.7万人から、約4分の1まで減りました。

すでに60万人台に入っており、この傾向は今も続いています。

学校の数はどうなるでしょうか。

公立小学校の数は、2002年度の約23,800校から2022年度には約19,000校まで減少しています。

20年で約4,800校が消えた計算です。

しかもこのスピードは、今後さらに加速する見込みです。

学習塾はどうでしょうか。

塾に通う「対象人口」そのものが毎年減り続けているわけです。

どんなに優れたカリキュラムを開発しても。

どんなに優秀な講師を揃えても。

デジタルで効率化しても。

子供の絶対数が減っているのだから、マーケット全体が縮小する。

これがシュリンクするマーケットの恐怖です。

どれだけ頑張っても、上手くやっても、市場の縮小に足を引っ張られる。

まるでエスカレーターが下に動いているのに、全力で上に走っているような状態です。

さらに恐ろしいのは、市場が縮むと残ったわずかなパイを奪い合う「レッドオーシャン」になることです。

そこでは資本力のある大手や、すでに確立したブランドを持つインフルエンサーが圧倒的に有利です。

だからこそ重要なのは、「上りのエスカレーターに乗る」という選択です。

黙っていても市場自体が膨らんでいる場所を選べば、歩みが遅くても勝手に上に運んでくれる。

Kindle出版においても、同じ発想が使えます。

第2章の図版7

同じ苦境から「逃げた企業」と「残った企業」

シュリンクするマーケットに留まり続けた企業と、そこから抜け出して成功した企業の対比は、ビジネスの教科書でよく語られます。

有名な事例が、富士フイルムとコダックの比較です。

デジタルカメラの普及によって、フィルム市場は2000年代に入って急速に消滅しました。

かつては写真フィルムの世界最大手だったコダック(アメリカの企業)は、この変化への対応が遅れ、2012年に経営破綻しました。

重要なのは、コダックがデジタル技術を持っていなかったわけではない、という点です。

実は世界初のデジタルカメラを試作したのはコダックの技術者でした。

技術はあった。

でも「フィルム市場を守ろう」という判断が、軸足の移動を遅らせた。

一方、同じフィルムメーカーだった富士フイルムはどうしたか。

フィルムの製造技術で培ったコラーゲン合成技術や酸化防止技術を化粧品・医薬品分野に転用し、まったく別のマーケットで勝負を始めました。

今の富士フイルムは、化粧品ブランド「ASTALIFT(アスタリフト)」を展開し、医薬品・バイオ事業でも大きな利益を上げています。

同じ技術力を持ちながら、「縮小するフィルム市場で戦い続けるか」「別の大きなマーケットにその技術を持ち込むか」の判断が、企業の命運を分けたわけです。

もっと身近な例で言えば、任天堂もそうです。

もともとは1889年創業の花札・トランプメーカーでした。

国内の花札市場が縮小していく中で、おもちゃ・ゲーム機という新しいマーケットへと舵を切った。

その後の歴史は皆さんご存知の通りです。

Kindle出版に置き換えると、「自分が詳しいジャンル」「自分が好きなジャンル」だけに固執することは、コダックの選択に似ています。

市場の大きさを見て、自分の知識やスキルをどこで使うかを選ぶ。

富士フイルムや任天堂の戦略を模倣することを忘れないようにしましょう。

「マーケットの天井」という概念

「商品力よりマーケットの大きさが重要」という話をしてきましたが、これは「品質は関係ない」という意味ではありません。

どんなに大きなマーケットでも、品質が著しく低ければ長期的には読まれなくなります。

低評価レビューが積み重なれば、Amazonのアルゴリズムにも影響します。

しかし、ここで重要な概念が「マーケットの天井」です。

品質をどれだけ高めても、マーケットが小さければ収益の天井は低い。

逆に、マーケットが大きければ、そこそこの品質でも天井が高い。

つまり、品質はマーケットの大きさが生み出す「可能性の上限」の中で発揮されるものであるということです。

マーケティングの世界には「TAM・SAM・SOM」というフレームワークがあります。

・TAM(Total Addressable Market):理論上の最大市場規模

・SAM(Serviceable Available Market):実際にアプローチできる市場規模

・SOM(Serviceable Obtainable Market):現実的に獲得できる市場規模

スタートアップが資金調達をする時、投資家が最初に見るのは「TAMはどのくらいか」です。

市場の天井が低いビジネスには、どんなに優れたチームや技術があっても、大きな投資はしない。

教育系スタートアップへの投資が冷え込んでいるのも、TAMが縮小しているからです。

Kindle出版も全く同じ構造です。

TAMが大きいテーマで本を書き、その中で品質を高めていく。

この順番が正しい。

品質は大切です。

でも品質は、マーケットの大きさが決める天井の中でしか輝けない。

だからまず、天井の高い場所を選ぶことが大切なのです。

第2章の図版8

日本の人口動態がKindle出版の答えを示している

では、Kindle出版においてTAMが大きいテーマとは何でしょうか。

ここで、日本の人口動態を少し丁寧に見ておきたいと思います。

2025年現在、日本の総人口は約1億2,400万人です。

このうち65歳以上の高齢者は約3,600万人で、総人口の約29%を占めています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2040年には65歳以上の割合が総人口の約35%前後に達するとされています。

2060年には約38%を超える見込みです。

日本の人口の3人に1人以上が、65歳以上になる。

これは絶対に避けられない事実です。

想像してみてください。

あなたのお母さん、あるいはお父さんは今、どんな本を読んでいますか?

健康についての本でしょうか。

料理の本でしょうか。

旅行の本でしょうか。

それとも最近、スマホの使い方が分からなくて困っているでしょうか。

その「困りごと」「関心事」を持つ人が、今後数十年にわたって増え続けるのです。

総務省の調査によれば、60代以上の層は若年層と比べて読書時間が長い傾向にあることがわかっています。

テレビ視聴時間と同様、コンテンツ消費の絶対量が多い。

さらにスマートフォン普及率も60代以上で年々上昇しており、電子書籍へのアクセスのハードルも下がり続けています。

国内のAmazonプライムの会員数は公表されていませんが、数千万人だと言われています。

私たちが対峙するマーケットの大きさとしては十分ですよね。

Kindle Unlimitedは月額料金を払って使う読み放題サービスで、Amazonプライムとは別のサービスです。

ただ、Amazonプライム会員の中には「読書好きで30〜50代以上」という潜在的なKindle Unlimitedユーザーが膨大に眠っています。

このシニア・ミドル層が今後どんどんKindle市場に流入してくる可能性があります。

「本を読む人とはどんな人か?」という問いに対して、重要な条件のひとつは「読む時間があること」です。

もちろん、読書習慣や関心の強さも関係します。

それでも、可処分時間がある人ほど、本に触れる機会は増えやすい。

この視点で見ると、Kindle Unlimitedのアクティブユーザーの多くはシニア層ではないかという仮説が成り立ちます。

あくまで私の仮説ですが、「時間のある人・読書習慣がある人」という切り口で考えると、自然とそこに行き着くんですよね。

数年後、このマーケットはどうなっているか

では、これからのKindle市場はどうなっていくのでしょうか。

正直、2030年や2035年に、どのAIツールが主流になっているかは分かりません。

AIの進化は速すぎますし、読者の行動も大きく変わる可能性があります。

だから見るべきなのは、特定のツール名ではありません。

人口構造と、読者の悩みの方向です。

今まで「デジタル書籍まで手が伸びなかった」シニア層が、これから数年でどんどんKindle市場に流入してくる可能性があります。

タブレット端末の操作に慣れてきた70代が増え、家族がプレゼントしたスマホでKindleを使い始める65歳が増える。

たとえば、健康管理、家族史、旅行、俳句・短歌、料理、学び直し、老後の不安、趣味、孤独、家族とのつながり。

ここに、10年後まで読まれ続ける本のテーマ選定のヒントがあるかもしれません。

今すぐすべてのテーマが売れるという意味ではありません。

ただ、人口動態と読者の生活を見れば、定点観測しておく価値がある領域です。

人口動態は、数十年単位で予測可能な数少ないデータです。

これを踏まえて、テーマ選定を考えることも、とても大切なことだと思います。

これはKindle出版ではなく、「人口構造ビジネス」である

私はKindle出版を「文章を書いて稼ぐビジネス」という観点だけで捉えていません。

「人口構造の変化に乗るビジネス」であるとも捉えています。

日本の人口動態は、今後数十年にわたってシニア化が進む。

時間のある人が増え、自己実現欲求を持つ人が増え、学び直しへの需要が高まる。

その流れに、分かりやすい入り口を使って橋を架ける。

これがKindle出版の中長期的なテーマ選定の本質だと、私は思っています。

書く技術は必要です。

でも書く技術は、この「人口構造の流れ」の中で使ってこそ力を発揮する。

どんなに文章が上手くても、縮小するマーケットに向けて書き続けていれば、ジリ貧です。

逆に、文章が多少粗削りでも、膨らみ続けるマーケットに向けて書き続ければ、積み上がっていく。

Kindle出版を始めようとしている方にも、既に始めているのに印税が伸び悩んでいる方にも、まずこの視点を持ってほしいと思っています。

第2章の図版9

「マジョリティ」のペルソナを具体的に想像してほしい

では、日本のKindle Unlimitedの典型的なユーザーは、どんな人でしょうか。

私のイメージする「マジョリティユーザー」のペルソナはこんな感じです。

55〜65歳の女性。

専業主婦か、パートタイム勤務。

スマートフォンは使えるが、アプリのダウンロードは少し面倒に感じる。

LINEとYouTubeは使いこなしている。

Amazonでは日用品をよく買う。

電子書籍は「安いし便利だから」という理由で使い始めた。

読む本のジャンルは、健康・料理・旅行・自己啓発・手芸・趣味全般。

毎日2〜3時間は本を読む時間がある。

ChatGPTは「チャッピー」と呼んでいて、最近使い始めたばかり。

あるいは、こんな人もいるでしょう。

65〜75歳の男性。

定年退職後、再雇用か完全退職。

時間はある。

健康への関心が高い。

体の衰えに不安を感じている。

老後の生きがいを探している。

孫のためになることを学びたい。

英語や歴史など、学び直しへの意欲がある。

デジタルには少し不安があるが、Amazonプライムは長年使っている。

もう一人。

35〜45歳の女性。

育児中でまとまった時間が取れない。

隙間時間でスマートフォンで本を読む。

子育て・教育・ダイエット・メンタルヘルスへの関心が高い。

仕事と育児の両立に疲れている。

副業に興味はあるが、何から始めればいいか分からない。

Kindleで広い需要を考えるとき、こうした読者像は無視できません。

AIを一度使ったことがある人でも、「自分の悩みにどう使えばいいか」までは分かっていないことがあります。

あなたが「最先端のAIツール」の話だけをしても、この人たちには届かない。

でも、

「ChatGPTで料理レシピを考える方法」

「スマホ一台で英語が話せるようになる本」

「子育ての悩みをAIに相談する方法」なら、

届く可能性がある。

Kindle出版のテーマ選びとは、このマジョリティのペルソナに向けて、彼らの言葉で語ることです。

市場を見ることは、読者を見ることだ

狭いマーケットでは、相当に秀逸な本を書いても収益の天井は低い。

広いマーケットなら、完璧でなくても、読者の悩みにきちんと届く本は積み上がる可能性があります。

これはKindleの「残酷なまでの数の論理」です。

HARMの法則を意識する。

緊急度と頻度を意識する。

イノベーター理論でマジョリティの位置を確認する。

人口動態という上りのエスカレーターに乗る。

これらは全て、「読者の数」というマーケットの大きさを測るための視点です。

でも、ここで一つ、疑問が湧くかもしれません。

「マジョリティ向けばかり書いていたら、差別化できないんじゃないか?」

「最先端のニッチな本を書く方が、印税が高くなるんじゃないか?」

半分は、その通りです。

例えば私が書いた『nano banana pro AI漫画 画像生成入門 完全初心者向け!』のような、最新AIツールを扱った本は、マーケットは狭いですが、その分、(出版当時としては)競合が少なく、情報に飢えている読者がいるので、短期的に爆発的に読まれることはあります。

イノベーター理論で言えば、「イノベーター」や「アーリーアダプター」向けの本です。

じゃあ、最先端ばかり書けばいいのか?

それも、違うと思うのです。

あなたの目的は何ですか?

一発当てることではなく、印税を長く確実に積み上げることですよね。

それなら、答えは明確です。

最先端の本もマジョリティ向けの本も、両方書く。

第2章の図版10

最先端の本(イノベーター/アーリーアダプター向け)は、短期的な収益の爆発力があります。

トレンドに乗れば一気にランキングが上がる。

でもトレンドが過ぎれば読まれなくなるリスクもある。

マジョリティ向けの本は、爆発力は弱いかもしれません。

でも市場が大きいため、長期的に安定して読まれ続けます。

積み上げ型の印税を生み出す土台になります。

最先端テーマにも魅力はあります。

うまく波に乗れば、短期的に大きく読まれることもあります。

ただ、最初の1冊から最先端だけに寄せすぎると、読者数が限られる可能性があります。

だからこそ、1冊目のテーマを考えるときも、「長く読まれる広い需要」があるかを必ず確認してください。

このBrainでは、まずこの視点を持ってもらえれば十分です。

Kindle出版は「良い本を書く」ことは当然大事。

「どれだけ大きなマーケットで戦うか」も大事。

「大きなマーケット」の定義は常に変遷していく。

そのことを、忘れないようにしてください。

ケーススタディ:XのバズりとKindle売上は一致しない

このBrainを書いた後、3冊の「最新AI本」を執筆しました。

NotebookLMのような、無料で始めやすいAIノートツールの本。

ClaudeCodeのような、開発者向けの高度なAIツールの本。

ClaudeCoworkのような、一般業務に使いやすいAIアシスタント系ツールの本。

それぞれ実際に書いて、初速2週間の売上を比べてみました。

結果、開発者向けの高度なAIツールの本より、無料で始めやすく、誰でも使いやすいAIノートツールの本の方が、初速ではよく読まれました。

この結果から分かったのは、Xで話題になるテーマと、Kindle読者が今すぐ必要としているテーマは違う、ということです。

Xで開発者向けAIツールが大きく話題になっていても、Kindleで本を買う層には「まだ少しハードルが高い」と受け取られる場合があります。

逆に、Xでは派手なバズりが少なかったAIノートツールのほうが、Kindle読者の「無料で・今日から・直感的に使える」というニーズに合っていました。

実際に書いた3冊は、以下です。

『いちばんやさしいNotebookLMの活用法の教科書』

https://www.amazon.co.jp/dp/B0GS6RXXB1

『いちばんやさしいClaudeCodeの教科書』

https://www.amazon.co.jp/dp/B0GT4T4F2B

『いちばんやさしいClaudeCoworkの教科書』

https://www.amazon.co.jp/dp/B0GTYKXR7F

第2章の図版11

ケーススタディ:初速だけでは、AI本の売上は判断できない

ところが、その後しばらくして、売上の順位が変わりました。

初速では伸びきらなかった開発者向けAIツールの本が、後から大きく読まれ始めたのです。

この経験から分かったのは、初速だけでテーマの良し悪しを判断してはいけない、ということです。

特にAI領域では、企業導入、外部ニュース、SNS上の話題化、Amazon内の評価の変化によって、読者側の温度が短期間で変わります。

Claude関連の本が伸びた背景には、外部環境の変化もあったと考えています。

AIツールの評価は、社会的なニュース、企業導入、SNSでの話題化によって、短期間で大きく変わります。

私が「まだ早い」と見ていたテーマでも、数週間から数ヶ月で読者側の温度が変わることがあります。

この経験から、AI領域では「早すぎる」という判断も、定期的に見直す必要があると感じました。

この流れに合わせて、もう1冊書きました。

『いちばんやさしいClaudeCode実践ドリル』

https://www.amazon.co.jp/dp/B0GWRM54S5

波が来ている時に、もう1冊出す。

同じジャンルの本を追加すると、Amazon内で「この著者の他の本」として相互にレコメンドされやすくなる、というメリットもあります。

ただ、この書籍は後にタイトルを変更することになります。その件については別の章で触れます。

第2章の図版12

追記:マーケットを捉えるもう1つの概念

「マーケットイン」と「プロダクトアウト」、聞いたことありますか?

このBrainを書いた後に、もう一つ、どうしてもあなたに伝えておきたい概念があることに気づきました。

マーケティングの世界に「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という有名な対比があります。

プロダクトアウトとは、自分が作りたいもの、自分が売りたいものを、世の中に出すアプローチです。

マーケットインとは、世の中(市場)が欲しがっているものを調べて、それに合わせて作って出すアプローチです。

「事業をやったことがない人がプロダクトアウトから始めるのは、ほとんどの場合、失敗が確定する」と言われています。

少し強めの表現ではありますが、私はこの主張に深く同意しています。

私は、基本的に「マーケットイン」しか選ばない

ここまでこのBrainを読んできたあなたなら、すでにお気づきかもしれません。

私のKindle出版の戦略は、基本的に「マーケットイン」に寄せています。

「マジョリティに何が求められているか」

「Amazonの検索窓に、どんな言葉が入力されているか」

「上りのエスカレーターに乗っているのは、どのテーマか」

テーマ選定は前提「マーケットイン」です。

なぜか?答えはシンプルで、私は凡人だからです。

私は小説家でもなく、思想家でもなく、エッセイストでもありません。

「私が世の中に伝えたい、唯一無二の思想」のようなものは、正直、特にないんですよね。

(強いて言えば「スマートFIRE」が、辛うじて私のオリジナリティと言えるかどうか、というレベルです)

だったら、「自分が書きたいもの」を世に出すのではなく、「読者が読みたいもの」に振り切った方がいい。

これが、私が辿り着いた一つの結論です。

凡人が、プロダクトアウト戦略で勝てる確率は、限りなくゼロに近いと私は考えています。

「私の作品の良さがいつか分かる人がきっと現れる」と祈りながら本を出し続けるのは、私の精神が持ちません。

だから私は、マーケットインを徹底するのです。

でも、マーケットインだけでは説明できない市場がある

ところが、ここで一つ反例があります。

例えばその1つに「占い関連市場」があります。

占い関連市場とは、対面占い、電話占い、メール占い、占いアプリ、占い書籍、占い番組、占い特集の雑誌、パワーストーン販売、開運グッズ、神社仏閣の参拝・お守り・お祓い、風水関連商品、占いセミナーなど、非常に幅広い領域を含みます。

この占い関連市場は、兆単位とも言われる大きな市場です。

これだけ巨大な市場は、一年や二年でできあがったわけではありません。

人類が「明日が不安」「自分の運命を知りたい」「誰かに背中を押してほしい」という感情を持ち続けるかぎり、占い関連市場は今後も縮小しないと考えられています。

つまり、「マーケットインのタイミングを伺う必要すらない」レベルで巨大な市場が、世の中には存在するのです。

もしあなたが占い関連のテーマに精通しているなら、いつ参入しても、何を出しても、市場が受け止めてくれる懐の広さがあります。

タロットの本でもいい、四柱推命の本でもいい、星占いでもいい、手相でもいい、夢占いでもいい、運気アップでもいい。

「いつ出すか?」を悩む必要が、ほぼないのです。

私が占い本シリーズを数冊書いたのも、マーケットがとにかく巨大であると知っていたからです。

これは、暗号資産市場のような「タイミングが命」の市場とはまったく性質が違います。

「マーケットサイズ>マーケットイン」という、私の基本思想

ここで、今までお伝えしてきた話と少し矛盾するように聞こえるかもしれない一文を、書きます。

私は「マーケットイン」を徹底的に意識しています。

でも同時に、「マーケットサイズ>マーケットイン」も強く意識しています。

順序で言うと、こうなります。

まず「マーケットサイズが十分に大きいテーマ」を選ぶ。

その上で、「今、何が読まれやすいタイミングか」を見定めて、マーケットインの調整を行う。

つまり、マーケットインは私にとって「2階の調整」であり、「1階の土台」ではないのです。

土台は、いつだって「マーケットサイズ」。

その上で、タイミングを見て微調整する。

これが「マーケットサイズ>マーケットイン」という言葉に込めた意味です。

なぜ、こちらを優先しているのか?

理由はたった一つ、「マーケットインのタイミングを当てるのは、想像以上に難しいから」です。

私の事例で言えば、「ClaudeCodeはまだキャズムを超えていない」と私が判断した1ヶ月後、外部環境の変化があり、企業導入が一気に進み、ClaudeCodeの本が爆発的に読まれるようになったことがあります。

正直、想定外でした。

これだけマーケットを観察し、考え抜いている私ですら、タイミングは外すのです。

タイミングを当てるのは、本当に難しい。

だから私は、まずタイミングに依存しない「土台」として、巨大なマーケットサイズを取りに行きます。

その上で、タイミングという「2階建ての応用」を重ねていく。

この順番だからこそ、外しても大事故にならないのだと思っています。

逆に、土台が小さい市場で「マーケットイン」だけを精緻に当てに行くと、当たれば打ち上げ花火のようにバズりますが、外すと一発でゼロに近い結果になります。

凡人の私には、こんな勝負はできません。

巨大市場の中にも、流行り廃りはある

ただし、ここで一つ、丁寧に補足しておきたいことがあります。

「占い関連市場のような巨大市場では、マーケットインを意識しなくていい」と聞こえたかもしれませんが、厳密に言うと、これは少し違うかもしれません。

巨大市場の「中」にも、流行り廃りは存在するからです。

たとえば占いの世界でも、ある時期は「四柱推命ブーム」、ある時期は「タロット占いブーム」、ある時期は「手相ブーム」、ある時期は「動物占いブーム」、ある時期は「数秘術ブーム」、ある時期は「九星気学ブーム」と、注目される手法が次々と入れ替わってきました。

最近では、AIに自分の生年月日や顔写真を読み込ませて鑑定する「AI占い」というジャンルも台頭してきています。

つまり、市場の「総量」は安定的に巨大であっても、その中には常に「今、どれが熱いか」というマーケットインのタイミングが存在しているのです。

ここに気づくと、巨大市場での戦い方は、こう整理できると私は考えています。

巨大なマーケットサイズという「土台」に乗る。

さらに、その中で今ホットなテーマに「マーケットインのタイミング」を合わせる。

この掛け算で、再現性のある勝率を作っていく。

「巨大マーケットの中にもマーケットインの思想は存在する」という、複合的な考え方です。

「マーケットサイズ vs マーケットイン」は、二者択一ではない。

基本思想として「マーケットサイズ>マーケットイン」を置きつつ、巨大マーケットの中でもさらに「マーケットインのタイミング」を重ねる。

このレイヤー構造を、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。

Kindle出版のテーマ選びは、「自分が書きたいこと」をそのまま選ぶ作業ではありません。

読者がたくさんいて、未解決の感情が大きい場所を探す作業です。

AI領域では、流行のスピードが速く、昨日まで早すぎたテーマが、急にちょうどよくなることもあります。

だからこそ、Xのバズりや初速だけで判断しないでください。

見るべきものは、「誰が買うのか」「その人は何に困っているのか」「そのテーマの市場は広がっているのか」です。

最先端に飛びつくより、マジョリティに届く言葉へ翻訳すること。

これが、Kindle出版でテーマを選ぶときの基本です。

凡人が勝つには、巨大市場の中で、読者が今ほしい入り口を作る。

この視点を忘れないでください。